Life

固い殻を砕く

ダークサイドを書こう。 よっちゃんが生まれてきたことは、僕にとっては、これまで守ってきた自分のペースの穏やかな生活にとって、ある意味では脅威に近い。 だけど、”今のところ”、僕の心の殻を砕くほどの力はない。 僕の心は、それを力任せに跳ね返してい…

44年後

いま僕が思うように、やがてよっちゃんも未来を憂い、巡り会う家族を愛し、なにかを失うことを恐れ、世界が悲しみで満ちていることに絶望するのか。 よっちゃんがいることで未来はつながり、彼は僕の未来に対する期待を受け止め、僕がそうだったように歩き始…

はざまの心

僕の人生にはふたつの選択肢があった。 よっちゃんがいる人生と、そうではない人生。 このふたつは、容易にくらべることができないが、選択しなかったほうの人生がどんなものだったはずなのかは、完璧ではないにせよ想像することができる。それは、ついこの…

この季節の夕方

夕方、新緑をふくんで少し湿った風がやけに鼻にとおるこの季節は、高校生の頃の部活動にタイムスリップできる。 僕は、44歳になった今でも、16歳のころの部活の練習の最後が終わろうとしている光景の中にいる。 俄にけたたましくなる蛙の声、日没で見えなく…

日曜の夜の洗濯

自分のお気に入りのカットソーとタンクトップ、それから、仕事用に買った下ろしたてのソックスを洗濯かごから選り分け、ホームクリーニング用洗剤を使って洗濯機をソフトに設定して洗った。干すのは二階の一室で、乾燥機のタイマーは6時間に設定した。夜中…

春を集めたような匂いが高くとられた窓から入ってきた

それはどこの話かというと、会社のトイレの話。 理由は知らないけれど、高くとられた窓から入ってくる風はいつも、手ぶらではやってこない。 あるときは、懐かしい母の香水の香り、あるときは四季折々の植物の香り、そしてあるときは。 建物と建物の間に渡さ…

浜松駅前にて

土地が平たい 風が吹いている 暖かい 時間の流れが(住んでいるところに比べて)緩やか 人々の顔つきが(住んでいるところと)違う 僕のような個人的な人間が、心身のバランスを健全と言えるレンジで保ちながら生きていくには、生活環境の多様性を保っておく…