44年後

 

いま僕が思うように、やがてよっちゃんも未来を憂い、巡り会う家族を愛し、なにかを失うことを恐れ、世界が悲しみで満ちていることに絶望するのか。

 

よっちゃんがいることで未来はつながり、彼は僕の未来に対する期待を受け止め、僕がそうだったように歩き始める。

 

僕が小学校に入学したとき、すべてはまっさらに新しかった。

 

学生服を買ったお店でもらったおまけは、小さなホワイトボードと水性ペンのセットだった。

 

嬉しくて坂を上がり、道路に座って東に見える山と海を描いてみた。実際に描いたかどうかはよく覚えていない。覚えているのは、真新しい水性ペンのインクの匂いと、小さなホワイトボードが真四角ではなかったこと、そして、萌える新緑の香りだけだ。僕は、あのときの僕自身をすぐ後ろから見ていた。そしていまも。

 

とにかく、何もかもが輝いてまっさらに新しい季節だった。

 

母は、父は、人々は、何を思っていたのだろう。父になった僕は今何を思うか、僕自身に問うてみたが答えはない。

 

眩しかった時間が、僕の影をよりいっそう濃く彩っただけだ。