魚の骨

 

えっちゃんは、よっちゃんがいてとても嬉しそうで

 

自分が母になることを望んでいたし

 

母としての役割を引き受けてそれを全うできることがとても幸せそうだ

 

それを見ていて私自身も良かったとおもえる

 

父も母も、親戚も、他人も、みんな喜んでくれ

 

それが正しいことだったかのようにふるまってくれている

 

でも、魚の小骨のような感情が私の心に引っかかったままだ

 

私たちはゼロから新しい試練を引き受けてしまったのではないか

 

よっちゃんは心たくましく育ってくれるだろうか

 

お金に困らないだろうか

 

心無い人から言われのない仕打ちを受けないだろうか

 

彼が必要とするときに、私は彼を支えてあげられる立場にいるだろうか

 

皆、私と同じように、青と白がないまぜになったような気持ちで

 

起きたことを受け止めて、つとめて明るくふるまってくれているだけではないか

 

皆、私と同じではないのか

 

私だけが知らないのではないか

 

誰もが幸せそうで、よっちゃんも幸せそうで、今日は一度きりで

 

心に、冷たくも熱くもない、ひとかかえの風が吹いた

 

風が、それはおまえが発明した感情ではないとささやいた

 

夏がチェックアウトの準備を始めた気がした

 

私はいつから、誰にも頼らずに生きてきたんだろうか