車輪の上

蜂の巣を取り除いた。

 

それはえっちゃんが使っている小さなドイツ車の、右の後ろのタイヤハウスの壁に、一ヶ月くらい前から親たちが一生懸命こしらえた、恐らくは土と蜂たちが出す粘液で作られていて、先週末にムカデバサミで突いたくらいではビクともしなかった。

 

僕は今日、スコップを持ち出した。土をすくい上げる部分が四角で、角が90度に尖っていて、巣はいとも簡単にこそげ落とせそうだった。

 

実際にそれは脆い土の塊のように、なんどかえぐれば取り除く事ができた。

 

そういえば、ここ数日は親蜂たちが姿を見せないとえっちゃんが言っていた。

 

巣をこしらえて力尽きた親蜂たちは、どこかへ行ってしまったか、その短い一生を終えたのかもしれない。

 

そうやって巣を完全に取り除いたあとに、レンコンのような跡が車体に残った。

 

柔らかい幼虫たちが入っていた部屋。

 

幼虫たちは10匹くらいいただろうか。そんなことをしても意味がないのに、幼虫たちに傷をつけないように、スコップの先でそっと引っ掛けて地面に落とした。そして、水道の水で綺麗に流した。

 

幼虫はよっちゃんと何が違うんだろう、と思った。

 

何も違わないような気がして、少し吐き気がした。

 

そして、にこにこと笑うよっちゃんをお風呂にいれた。