ファーザー・ビルド

 

入組んだ湾に面して建つ真っ白な建造物。

 

すごいスピードでいく雲。

 

時折見える、ひやあつの青空と太陽。

 

台風一過。

 

資本投下によってビルドされた絶対的「静」の保養施設。

 

人知を超えたネイチャーが生み出すひとときとして同じ形をしていない雲。

 

あの保養施設はまるで僕の父がつくったみたいだ。

 

荷造りを終わらせてカウチに座り、湾の向こう側に立つ別棟をずっと見ていた。

 

かすかな黒ずみで縁取られた、一切の黄色味を排除した絶対的な白。

 

あれはきっと、あのころの父があのころの僕のために作ってくれたものだ。

 

雲がすさまじいスピードで流れていた。建物は絶対的「静」のままだ。

 

めをこらしてみるのはみな白。

 

でもその「動」と「静」のコントラストはずしりとしている。

 

出発の時間だ。